「ゲート(Gate)」とは、溶融樹脂が金型のランナーから製品のキャビティへ流れ込む最後の通路です。
製品の形状・外観・寸法精度・強度・離型性などに大きな影響を与える非常に重要な部分です。
ゲートとは?
定義
ゲートは、ランナーとキャビティをつなぐ狭い流路で、溶融樹脂がキャビティに充填される際の“入口”にあたります。
充填完了後は、ゲートが冷えて固まり、製品と一体化して排出されるのが基本です。
ゲートの主な役割
役割 |
内容 |
✅ 溶融樹脂の流入口 |
最終的にキャビティへ樹脂を送り込む |
✅ 充填速度・圧力の調整 |
ゲート断面積によって流れを制御 |
✅ 冷却・固化の起点 |
ゲートが固まることで保圧終了のタイミングになる |
✅ 製品との接続点 |
成形品とランナーをつなぐため、切り離し処理も必要になる |
主なゲートの種類と特徴
ゲート名 |
特徴 |
用途・例 |
サイドゲート |
側面から流入。最も一般的 |
汎用部品、コスト重視の製品 |
ピンポイントゲート(ダイレクトゲート) |
小さく目立たないが、圧損や応力残りやすい |
外観重視品(キャップ、透明部品など) |
ファンゲート |
広く薄い扇形状。均一に充填可能 |
板状部品、そり対策が必要な製品 |
バルブゲート |
ピンで開閉制御。自動で切断される |
ホットランナーと組み合わせ、大型部品や多点ゲートに有効 |
サブマリンゲート(トンネルゲート) |
金型内で自動切断されるタイプ |
自動脱ゲートが可能、小型部品に最適 |
ディスクゲート(リングゲート) |
中央から円環状に流す |
円筒形やレンズ部品などに使用 |
キャスケットゲート |
上部から均等に注入する特殊ゲート |
光学部品やフィルム成形など |
ゲート設計における重要ポイント
項目 |
意味・注意点 |
断面積・形状 |
流動性、充填時間、圧損に影響。小さすぎるとショート、大きすぎるとバリ |
位置 |
ウェルドライン、ボイド、そりなどの発生位置に影響 |
ゲートシール時間 |
保圧が効いている時間を制御。製品の密度とヒケに関係 |
脱ゲート処理 |
ゲート跡の美観や仕上げ性に影響。自動 or 手作業かも要検討 |
ゲートが原因で起きやすいトラブルと対策
不良 |
原因 |
対策 |
ウェルドライン |
ゲート位置の不適切 |
ゲート配置や数を見直す |
ヒケ・ボイド |
ゲートが早く固まる |
シール時間の延長 or ゲート断面拡大 |
バリ |
ゲート径が大きすぎる、保圧過大 |
ゲート絞り、金型調整 |
ゲート白化・ゲート跡 |
冷却不十分、材料の離型性 |
金型温度・表面処理・ゲート位置の工夫 |
ゲート設計の最適化のヒント
工程 |
ポイント |
製品設計段階 |
ゲート跡の位置を目立たない裏面に配置するのが理想 |
流動解析(CAE) |
樹脂の流れやウェルドの発生位置を予測して、ゲート位置を最適化 |
成形条件との連携 |
射出速度・圧力・温度によりゲートサイズや形状の最適解が変わる |
まとめ
観点 |
ポイント |
意味 |
溶融樹脂がキャビティへ流入する最終通路 |
重要性 |
成形品の品質に大きく影響。設計は非常に重要 |
種類 |
用途に応じて多数。自動脱ゲート型や高外観品向けなど |
設計注意 |
サイズ・位置・冷却・圧力・脱ゲート処理を総合的に判断 |
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