金型冷却機(チラー)は、射出成形やダイカストなどの製造工程で金型の温度を制御し、製品の品質向上や生産性の向上に寄与する装置です。適切な冷却は、成形品の寸法精度や表面品質を保ち、成形サイクルの短縮にもつながります。
金型冷却機の主な種類と特徴
1. 水冷式チラー
水冷式は冷却効率が高く、安定した温度制御が可能です。例えば、松井製作所の「MCC5」は、大型タンクと大流量高圧ポンプを備え、温度精度±1℃を実現しています。また、冷媒にはオゾン破壊係数ゼロの「R407C」を採用し、環境にも配慮されています。
2. 空冷式チラー
空冷式は冷却水の供給が不要で、設置が容易です。松井製作所の「MCCA3」は、密閉循環方式を採用し、水質によるトラブルを防止します。また、インバータ制御により省エネルギー運転が可能です。
3. 特殊冷却装置
アーレスティテクノサービスの「ジェットクールシステム」は、細い中子ピンの冷却に特化した装置で、高圧冷却ポンプや過冷却防止制御回路を備えています。焼付きやひけ巣の防止に効果的です。
金型冷却の重要性と効果
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品質向上:均一な冷却により、成形品の歪みや収縮を防ぎ、寸法精度や表面品質を向上させます。
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生産性向上:冷却時間は成形サイクルの最大60%を占めるため、効率的な冷却はサイクルタイムの短縮につながります。
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金型寿命の延長:適切な冷却により、金型の熱劣化を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
効率的な冷却のための工夫
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冷却水路の最適化:製品形状に沿った冷却水路の設計や、3Dプリンターを活用したコンフォーマル冷却により、冷却効率を高めます。水質管理:スケールや錆の発生を防ぐため、軟水装置やフィルターの導入が有効です。
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結露対策:低露点のエアーを吹き付けることで、金型の結露を防止し、冷却効率を維持します。
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