金型温度とは?
金型温度とは、射出成形時に金型表面(キャビティ/コア)を一定に保つための温度のことです。
成形時には、高温の溶融樹脂が金型に注入されて冷却・固化されます。その際に、金型の温度が低すぎても高すぎても成形不良や寸法不良が発生します。
なぜ金型温度が重要か?
金型温度が製品に与える影響 |
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✔ 成形品の表面品質(光沢・転写性) |
✔ 寸法精度・ひけ・反り |
✔ サイクルタイム(冷却時間) |
✔ ウェルドラインやフローマークの発生 |
✔ 樹脂の結晶性や内部応力の状態 |
樹脂ごとの適正金型温度の例
樹脂名 | 推奨金型温度(目安) |
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ABS | 40〜80°C |
PP | 20〜60°C |
PC | 80〜120°C |
POM | 60〜100°C |
PA66 | 70〜120°C |
PBT | 100〜140°C |
LCP | 130〜160°C |
※結晶性樹脂(例:PBT、PA、POM)は高め、非結晶性樹脂(例:ABS、PC)はやや低め。
金型温度調整の方法
使用される装置:
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金型温度調節機(チラー、オイルヒーター)
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冷却水配管
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ヒーター内蔵プレート
方法:
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成形開始前に設定温度まで金型を昇温(予熱)
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成形中は冷却水やオイルで温度を安定化
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過熱・冷却バランスを取りながら連続成形
金型温度の不良影響
温度が低すぎる場合 | 温度が高すぎる場合 |
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・ウェルドラインが目立つ | ・冷却時間が長くなる |
・充填不足(ショートショット) | ・反りや収縮ムラ |
・光沢が悪い | ・離型性が悪化 |
・バリが出やすい(低粘度) | ・寸法が安定しない |
現場でのポイント
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樹脂に適した金型温度を選定
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製品品質に応じて細かく調整
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金型温度計/熱電対での監視が重要
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実機検証+経験値が非常に活きる領域
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