型開力とは?
型開力とは、金型を開くときに必要な力のことです。具体的には、成形サイクルのうち、「型開き工程(開型)」で金型を開く際に必要になる力を指します。
なぜ型開力が必要?
射出成形では、成形品(樹脂製品)は金型のキャビティ側かコア側のどちらかに張り付いている状態になります。この状態で金型を開こうとすると、以下のような抵抗力が発生します:
主な抵抗の原因:
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真空引き効果(吸着力)
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部品の収縮による固着
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ガス抜けの不十分さ
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離型性の悪さ
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突き出しピンが作動する前の摩擦力
型開力の設計と計算
型開力の正確な計算は複雑ですが、以下の要素が設計時に考慮されます:
設計に影響する因子:
因子 | 内容 |
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成形品の形状 | アンダーカット・深いリブなどがあると離型しにくい |
樹脂材料 | ABS、PC、ナイロンなど材料ごとに粘着性が異なる |
金型表面処理 | クロムメッキやPVD処理などで離型性を改善 |
離型剤の使用 | 型開力を小さくする手段として使用 |
ガス抜きの設計 | 型内の空気が逃げないと吸着が強くなる |
型開力が過剰な場合の問題
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金型の破損や寿命低下
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成形機への過負荷(開閉装置の摩耗)
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成形サイクルの延長(離型不良で取り出しに時間)
型開力を下げる対策
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離型テーパー(ドラフト角)を大きくする
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表面処理で摩擦低減
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ガス抜き構造の改善
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離型剤の塗布
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突き出し機構の工夫(スライド、エアブロー等)
まとめ
用語 | 内容 |
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型開力 | 成形品を取り出すために金型を開くのに必要な力 |
関連工程 | 開型、離型、突き出し |
小さくするには | テーパー角、表面処理、ガス抜き、離型剤などが有効 |
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