型閉速度とは?
金型を閉じるときの動作速度のことです。
射出成形サイクルの中で「型閉じ」の早さを決める重要なパラメータです。
型閉速度は「型閉時間」に直接関わる要素であり、サイクルタイム短縮、安全性、金型保護などに大きく影響します。
型閉速度の一般的な設定
多くの成形機では、複数段階で型閉速度を調整します。
段階 | 内容 | 主な目的 |
---|---|---|
低速開始(安全速度) | 最初はゆっくり閉じる | 安全確認・型噛み防止 |
高速型閉 | 金型がある程度近づいたら高速で閉じる | サイクル短縮 |
低速合わせ(型合わせ速度) | 最後は再び低速 | 精密に金型を合わせ、損傷防止 |
なぜ段階的に速度を変えるの?
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最初から最後まで高速で閉じると危険です。
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ガイドピンの噛み込み、型の破損、油圧ショックが起こる恐れがあります。
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安全と速度のバランスを取るために、段階的に速度を調整します。
型閉速度の目安(参考値)
成形機サイズ | 高速型閉速度 |
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小型機(〜100t) | 200〜400mm/s |
中型機(〜350t) | 300〜500mm/s |
大型機(500t〜) | 400〜600mm/s |
※安全速度や型合わせ速度は、10〜50mm/s くらいの低速が一般的
型閉速度が影響するもの
影響項目 | 内容 |
---|---|
サイクルタイム | 速ければ速いほど短縮できる |
安全性 | 速すぎると危険(型噛み・作業者事故) |
型寿命 | 無理な高速型閉は摩耗・破損の原因 |
精度 | 型合わせ時の低速が重要 |
型閉速度の調整ポイント
状況 | 調整のコツ |
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新規金型立上げ時 | 低速スタート、安全確認 |
安定生産時 | 高速型閉を徐々に上げる |
薄肉高速成形 | 安全確認の上、できるだけ高速化 |
精密成形・光学部品 | 型合わせ速度は特に慎重に設定 |
型閉速度に関連するトラブル例
トラブル | 原因 | 対策 |
---|---|---|
型噛み | 早すぎる初速 | 安全速度を低速にする |
型ショック音 | 高速型閉が速すぎ | 高速速度を下げる |
バリ発生 | 型合わせが不完全 | 型合わせ速度をより低速にする |
まとめ
項目 | 内容 |
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名称 | 型閉速度(Mold Closing Speed) |
目的 | 金型を安全・迅速に閉じる |
段階制御 | 安全速度 → 高速型閉 → 型合わせ速度 |
ポイント | 速度バランスが品質・生産性・安全に直結 |
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