可塑化能力とは?
1時間あたりにどれだけの樹脂を可塑化(溶かして準備)できるかを表す能力のことです。
主に以下の単位で表現されます:
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kg/h(キログラム毎時)
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g/s(グラム毎秒)
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※機械カタログでは「可塑化能力:30kg/h」などと表記
なぜ重要?
射出成形機が生産する成形サイクルの安定性・生産性に大きく関係します。
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可塑化能力が足りない
➡ 樹脂の溶融準備が間に合わない
➡ サイクルタイムが長くなる
➡ 品質ばらつき(樹脂温度ムラ、気泡、ショートショット) -
可塑化能力が適切
➡ 高速成形・安定生産が可能
可塑化能力を決める要素
要素 | 内容 |
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スクリュー径 | 太いほど樹脂供給量が多くなる |
スクリュー回転数 | 速いほど樹脂が早く前進・溶融する |
スクリュー設計(溝深さ、圧縮比) | 材料に合わせて設計 |
加熱ゾーンの温度 | 適切な温度で効率よく溶かす |
樹脂の種類 | PP、PA、PCなどで可塑化性が異なる(融点、粘度など) |
例:可塑化能力の計算イメージ
たとえば:
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スクリュー径:50mm
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回転数:120rpm
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樹脂:PP
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可塑化能力:およそ 30〜40 kg/h
➡ 製品重量やサイクルタイムから
「この機械で連続成形できるか?」を判断します。
可塑化能力不足のトラブル例
症状 | 原因 | 対策 |
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ショートショット | 樹脂量不足 | スクリュー径アップ、回転数調整 |
サイクル遅延 | 可塑化が間に合わない | 予熱ゾーン調整、スクリュー見直し |
温度ムラ | 混練不足 | バックプレッシャー調整、スクリューデザイン変更 |
可塑化能力の目安(代表例)
成形機トン数 | スクリュー径 | 可塑化能力(目安) |
---|---|---|
50t | 30mm | 8〜10kg/h |
150t | 45mm | 20〜30kg/h |
300t | 60mm | 40〜60kg/h |
500t | 80mm | 70〜100kg/h |
※樹脂や条件によってかなり変動します。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 可塑化能力(Plasticizing Capacity) |
定義 | 一定時間内に可塑化できる樹脂量 |
単位 | kg/h、g/sなど |
決定要素 | スクリュー径・回転数・温度・樹脂特性 |
重要性 | 生産性・品質安定に直結 |
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