プラスチック(樹脂)を加熱して、溶かして柔らかくする工程のことです。
固体だった樹脂(ペレットなど)を流動性のある状態に変化させるために行います。
なぜ可塑化が必要?
プラスチックは成形時に型に流し込んで形を作るため、
固体のままだと流れません。
➡️ 加熱・混練・溶融することで、
液体のように金型内に流れる状態=可塑化された状態にします。
射出成形における可塑化の流れ
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ペレット(粒状の樹脂)をホッパーに投入
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スクリューが回転しながら樹脂を前方へ送り出す
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シリンダー内でヒーターにより加熱
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スクリューのせん断力と混練で溶ける
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先端に蓄えられた溶融樹脂を射出する
この ①〜④までの工程が「可塑化」 です。
主な要素(射出成形機)
要素 | 内容 |
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スクリュー | 樹脂を前に送りながら加熱・混練する |
シリンダー | ヒーターが取り付けられた筒状部品。内部で加熱される |
バンドヒーター | シリンダーの外側に取り付けられ、温度制御される |
バックプレッシャー | スクリュー後退時の抵抗圧。混練やガス抜きに関与 |
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い
種類 | 可塑化できるか? | 説明 |
---|---|---|
熱可塑性樹脂 | 〇(繰り返し可塑化可能) | 例:PP、PE、ABS、PCなど |
熱硬化性樹脂 | ×(一度硬化したら再加熱しても戻らない) | 例:フェノール、エポキシなど |
可塑化の品質に関わる要素
要素 | 説明 |
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温度設定 | 高すぎても低すぎても不良の原因(焦げ・短ショットなど) |
スクリュー回転数 | 速すぎると材料劣化、遅すぎると可塑化不足になる |
混練性能 | 材料の均一化が不十分だと、色むらやガス不良に |
バックプレッシャー | 適切に設定することで、ガス抜きや混練が向上する |
可塑化不良の例
不良名 | 原因の可能性 |
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短ショット | 可塑化不良で樹脂が足りない |
シルバーストリーク | 可塑化不足や水分残り |
ガス焼け | 過剰な加熱や可塑化時のガス巻き込み |
材料劣化 | 温度が高すぎ、混練が強すぎる場合など |
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 可塑化(Plasticizing) |
意味 | 樹脂を加熱・混練して溶かし、流動性を持たせる工程 |
主な工程 | 加熱 → 溶融 → 混練 → 貯留 |
関連装置 | スクリュー、シリンダー、ヒーター、バックプレッシャー |
注意点 | 温度・回転数・時間管理が重要。不良につながりやすい |
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