直線運動を高精度かつ滑らかに行うための直動案内装置のことです。特に工作機械、射出成形機、ロボット、医療機器などで広く使用されています。
LMガイドとは?
ボールやローラーを利用して、低摩擦で高精度な直線運動を実現する案内機構
「Linear Motion Guide」の略で、日本ではTHK(株)がLMガイドという名称を登録商標としています。
構成要素
LMガイドは主に以下の構成で成り立っています:
部品名 |
説明 |
レール(ガイドレール) |
直線状の金属レール。スライダー(ブロック)が上を滑ります。 |
ブロック(スライダー) |
レール上を滑走する可動部。内部に転動体(ボール or ローラー)が内蔵されています。 |
転動体 |
主にスチールボール(またはローラー)。レールとブロックの間を低摩擦で転がります。 |
リターン部分 |
ボールを循環させる経路。ブロック内でボールが循環し続ける構造になっています。 |
特徴・メリット
特徴 |
説明 |
低摩擦 |
ボールやローラーが転がるため、摺動摩擦が非常に小さい |
高精度な位置決めが可能 |
数ミクロン単位の繰り返し精度が得られる |
高剛性・高耐荷重 |
複数列のボールで荷重を分散、しかも上下左右からの荷重に強い |
長寿命 |
接触面が転がり接触なので摩耗が少なく、長期間メンテナンス不要なことも |
高速運動が可能 |
スムーズに動作し、高速でも摩擦が小さい |
用途例
業界 |
具体的な用途 |
工作機械 |
NC旋盤、マシニングセンタ、ボーリング機の送り軸など |
射出成形機 |
可動型支持、型締め装置、エジェクタの直線運動部など |
産業用ロボット |
アームの移動部、位置決めステージ |
医療機器 |
CTスキャナのベッド、診断機器の位置制御部 |
半導体装置 |
ウェハ搬送ステージ、リソグラフ装置 |
転動方式の種類(ボール or ローラー)
タイプ |
特徴 |
ボールタイプ |
一般的。高速で滑らか。コストも比較的安い。 |
ローラータイプ |
高剛性・高耐荷重向き。重切削や精密加工機に使用されることが多い。 |
型式の例(THKの場合)
型式記号例 |
説明 |
SSR |
コンパクトなボールタイプ |
SHS |
高剛性・高精度タイプ(4方向等荷重) |
SR |
一般的なボールタイプ(軽負荷向け) |
HRW |
ワイドタイプ。横荷重に強い |
RA |
ローラータイプ。高剛性・重切削対応 |
使用時の注意点
注意点 |
内容 |
取り付け精度 |
レールとブロックの芯出しが重要(芯ズレは寿命や精度に悪影響) |
潤滑の管理 |
定期的なグリス給脂が必要。自動潤滑ユニット付きのタイプもあり。 |
異物混入の防止 |
ダストカバーやベローズを装着することで粉塵や切粉の侵入を防止 |
衝撃の回避 |
高速で限界位置に当たると、ブロックやボールが損傷する可能性がある |
まとめ
項目 |
内容 |
名称 |
LMガイド(リニアモーションガイド) |
主な構成 |
ガイドレール、スライダー、転動体(ボール or ローラー) |
特徴 |
高精度・低摩擦・高剛性・長寿命 |
主な用途 |
工作機械、ロボット、成形機、医療機器など |
コメント