エジェクタ方式

射出成形において金型から成形品を押し出して取り出す方法(メカニズム)のことを指します。
成形品の形状や材質、離型性などに応じて、最適なエジェクタ方式を選ぶことが重要です。

主なエジェクタ方式一覧

方式名 特徴・用途
① エジェクタピン方式 一般的で最もよく使われる方式
② ストリッパープレート方式 外周を均等に押し出す。円筒・箱型製品に適す
③ エアエジェクタ方式 圧縮空気で製品を押し出す。透明品やキズ防止に有効
④ スリーブエジェクタ方式 丸穴や円柱部品など、中心部を押し出す方式
⑤ プッシュプレート方式 広い面積で製品を押し出す。大きな平板などに適す
⑥ リフター方式 アンダーカットのある製品を押し出すための特殊方式
⑦ 複合方式(ピン+プレート等) 複雑な製品に対して複数の方式を組み合わせる

① エジェクタピン方式(最も基本的)

  • 金型に埋め込んだ細いピン(直径1〜10mm)で製品を押し出す

  • 多数個取りにも対応しやすい

  • ピン痕ができるため、化粧面には配置しない

📌 長所:構造がシンプル・安価
📌 短所:ピン痕が出やすい、薄物や柔らかい製品には不向きなことも


② ストリッパープレート方式

  • 成形品の外周全体を押し出すプレートで製品を押し出す

  • カップ形状や薄肉容器など、変形しやすい製品に最適

📌 長所:面で押すため変形しにくい
📌 短所:金型構造が複雑になる


③ エアエジェクタ方式

  • 圧縮空気を噴出して製品を金型から浮かせて押し出す

  • 透明樹脂や傷がつきやすい製品(光学部品など)に有効

📌 長所:ピン痕が出ない、表面がきれいに保てる
📌 短所:確実性に欠ける場合があり、補助方式として使うことが多い


④ スリーブエジェクタ方式

  • 円柱状の中空部を持つ製品(例:チューブやボス)の中心部を筒状部品で押し出す方式

📌 長所:内径部にキズを付けずに押し出せる
📌 短所:構造がやや複雑で、コストが高い


⑤ プッシュプレート方式(押し板式)

  • 製品の裏面全体を大きな板(プレート)で押し出す

  • フラットで広い面積を持つ成形品(例:カバー、パネルなど)に有効

📌 長所:変形しにくい、キズが出にくい
📌 短所:金型サイズが大きくなる傾向


⑥ リフター方式(アンダーカット対応)

  • アンダーカット部を斜め方向に持ち上げるように動作するエジェクタ

  • スライドコアと連動することも多い

📌 長所:アンダーカット付き製品でも一体成形が可能
📌 短所:構造が複雑で調整が難しい


⑦ 複合方式(ピン+プレートなど)

  • 製品が大きい、形状が複雑、変形しやすい場合などに、複数の方式を組み合わせて使う
    例:中心はスリーブ、周辺はピン、全体をストリッパーで補助など

まとめ:用途別おすすめ方式

製品の特徴 適したエジェクタ方式
小物・単純形状 エジェクタピン方式
円筒形・カップ状製品 ストリッパープレート方式
傷を避けたい(光学製品) エアエジェクタ方式
中空円柱・パイプ製品 スリーブエジェクタ方式
平面が大きい製品 プッシュプレート方式
アンダーカットがある製品 リフター方式、スライド機構併用

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