成形品を金型から取り出す際に、エジェクタピン(またはプレート)が前進する「移動距離(mm)」のことです。
なぜエジェクタストロークが重要?
エジェクタストロークが適切でないと、次のような問題が起こる可能性があります:
ストロークが短すぎる場合 | ストロークが長すぎる場合 |
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成形品が取り出せない・残る | 成形品が飛び出して落下・破損する可能性 |
成形品が変形・キズがつく | 無駄な動きでサイクルタイムが長くなる |
製品がエジェクタに引っかかる | ピンが過剰に突き出し、型を傷める |
適切なエジェクタストロークの設計目安
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通常は 5mm ~ 30mm程度
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薄物・箱型・リブ形状など製品によって調整する
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製品の深さ、凹凸の有無、抜け勾配(ドラフト角)などが影響
成形品の形状とストロークの関係
成形品のタイプ | ストローク設計の注意点 |
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箱型(カップ、ケースなど) | 側面の摩擦が強いため、長めのストロークが必要 |
薄板状の製品 | 変形を防ぐため、均等に複数ピンで短めに押し出す |
多数個取り製品 | ストロークは同じでも、全体で均一に押し出す必要 |
射出成形機での調整方法
エジェクタストロークは通常、成形機の設定画面や機械ストッパー(リミットスイッチ)で以下を調整できます:
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エジェクタ前進距離(最大位置)
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戻り位置の確認(リターンストローク)
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速度や押し出し力(油圧・エア制御)
トラブル事例と対応
トラブル | 原因例 | 対応策 |
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成形品が型に残る | ストローク不足、ピン配置不良、離型性が悪い | ストローク延長、ピン増設、金型離型処理など |
ピン痕が深すぎる・目立つ | ストローク過多、ピン形状不適切 | ストローク短縮、ピン位置変更、面積分散など |
製品が飛び出して落ちる | ストロークが長すぎる、押し出しが急すぎる | ストローク短縮、速度調整、受け治具の設置 |
まとめ
項目 | 内容 |
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エジェクタストローク | エジェクタピンが前進する距離(成形品押し出し距離) |
一般的な範囲 | 約5〜30mm(製品により変動) |
設計・設定のポイント | 成形品形状、摩擦、抜け勾配、ピン位置などを考慮 |
不良防止対策 | ストローク過不足の調整、ピン配置、速度制御 |
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